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会長あいさつ 「『新たな教師の学びの姿』の実現において教職大学院の実績と能力を生かすべき」

 中教審において、昨年3月12日の諮問「『令和の日本型学校教育』 を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」の審議が進んでいます。その最初の提言として、「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて」(審議まとめ)が昨年11月15日に出されました。審議まとめでは、教員免許更新制の廃止と、更新制を発展させた仕組みとして「新たな教師の学びの姿」が打ち出されています。

 更新制廃止に繋がった要因は審議まとめに整理されていますが、主因は、更新講習が教師の多忙化と教師不足に拍車をかけている上に、必ずしも有用ではないと学校関係者に認識されていたことです。この認識はきわめて強く、審議まとめを担当した教員免許更新制小委員会の主査であった私の想定をはるかに上回るものでした。更新講習後のアンケートではそれなりの評価を得ていましたので、大学関係者の中には納得できない方もいるでしょうが、受けとめるしかないでしょう。

 より本質的な背景に目を向けるべきです。更新制導入後の10年の間に教師の研修を巡る環境が大きく変わっているのです。教員育成指標が定められ、それにもとづく研修計画が整備されて、研修が体系化され、充実してきたことです。また、ICTやAIの急速な発達があって、対面を中心とした集合型の研修が主流とはいえなくなってきていることです。そこで、更新講習の存続にこだわらずに、こうした変化を生かす形での教師の新たな学びの姿、研修の仕組みをつくることにしたということです。

提案された新たな学びの姿のポイントは、次のようにまとめられます。
①教師の主体的・自律的な学びが根幹であり、教師自らが、自らの学びをマネジメントする仕組みであること。更新講習が受け身的受講と受けとめられていたとすれば、教師の研修を本来の姿に戻すものであること。
②全ての教師に共通する基盤的な能力を育成する内容のものに加えて、広範多様な研修コンテンツを用意して、教師一人一人のニーズに応じた個別最適な学びができるシステムがつくられること。
③研修プログラムの質保証がなされること。一定の質が保証されたコンテンツのみがシステムにエントリーされる。
④ワンストップのプラットフォームがつくられること。そのプラットフォームにアクセスすれば、全研修の内容・方法の閲覧、各研修コンテンツのレベル、受講登録、評価方法などがすべて行えるシステムが構築される。
⑤研修受講履歴管理システムの構築が任命権者に義務づけられること。一人一人の教師がどういう研修を受けたかを記録して、それを利活用する。「管理」という言葉は、上からやらされる感があるので、名称が変わる可能性あり。
⑥任命権者・校長と教師の対話と、任命権者・校長による研修の奨励が義務づけられること。
⑦学びの成果を証明する仕組みがつくられること。学びの成果をデジタルバッジなどで証明し、それを校務分掌や校内研修、人事異動などに活用する。

新たな学びの姿の仕組みは現在、教職員支援機構が中心になって、具体的に構想されはじめています。

教職大学院はこれまで、正規の学位プログラムやその中の一部を活用した、例えば教職大学院に在籍していない教師対象の短期履修プログラムを展開し、高い評価を受けてきました。それは教職大学院担当の先生方を通じて更新講習や教育委員会主催の研修にも反映されてきたでしょう。こうした実績と能力を新たな学びの姿の具現化に生かすことが、審議まとめに書かれているように、教職大学院に強く期待されています。新たな学びの姿の実現を教職大学院がリードすべきです。

その際、新たな学びの姿のポイントに照らすと、最新のICTを活用した効率性や利便性の高い方法で開講すること、受講の成果を証明する評価の仕組みが組み込まれたコンテンツであること、その履修が教職大学院入学後に単位認定されるラーニングポイント制が適用されることなどが求められます。そうすることで、教師の新たな学びの仕組みにおける教職大学院の貢献度や価値がより高まることでしょう。

2022年3月7日       

日本教職大学院協会     
会長 加治佐 哲也   

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